建物の強震観測

観測の特徴

建物は強震観測の黎明期から、その最も重要な対象物であった。建物などの構造物の地震に因る損傷の過程や原因の究明が目的であったので、実際の建物の揺れを計測する必要があった。 震度計*1やK-NETなどの地震動を計測する強震計と比較して、建物の強震観測ではいくつかの違い、特徴がある。

建物の地震時挙動を観測の目的とする場合、建物への入力地震動と建物の応答を同時に観測する必要がある。すなわち、少なくとも建物の基礎と、応答が大きくなるであろう建物の頂部の2点の動きを計測することになる。建物の規模や形状、特徴によってはさらに計測点を追加する必要が生じる。例えば、超高層建物では1次から高次に至る振動モードを把握するため中間階の動きも計測する場合が多い。ねじれが生じる恐れがある建物では、ねじれを計測するため平面的に複数の測定点が必要となる。

従来の強震計は、水平2成分、上下1成分の計3成分の加速度計を内蔵して、独立して稼働するものであった。この場合は同一建物内の必要な場所に必要な数だけ強震計を設置することになる。通常それらの強震計は独立して作動するので、全ての強震計が作動する保証はない。また、全ての強震計が作動した場合も、同時に起動しておらず、記録の解析に当たっては記録の時間差を考慮する必要がある場合がある。

(鹿嶋、佐々木)

観測事例


*1 震度を測定するための機器で、仕組みは強震計そのものである。

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