著名な強震記録 †1923年 関東地震 †大正12年(1923年)9月1日,11:58:32に発生。死者・行方不明者10万余。 相模トラフから関東直下に沈み込んでいるフィリピン海プレート上面で起こったプレート境界型地震。 東京本郷におけるユーイング円盤型強震計の記録がある。那須・森岡(1973), Morioka(1980)により地震波形が復元されている。 東京本郷における今村式2倍強震計の記録がある。横田ほか(1989)により振り切れた波形の復元がなされている。 仙台、山形、高田、岐阜、徳島、長崎でも今村式2倍強震計の記録が発見され、武村(1994)ほかでデジタル化されている。 参考文献 †
1944年 東南海地震 †1944年12月7日、13:36発生。死者・行方不明者1223人。 紀伊半島東部の熊野灘を震源とする南海トラフ沿いの巨大地震。 総務省消防庁消防大学校 消防研究センターの「気象庁1倍強震計記録の数値データ公開システム」においていて、いくつかの地点の数値化データが得られる。http://nrifd.fdma.go.jp/open_tech/db_kyoshinkei/index.html 東京・大手町の記録の数値化データを図化すると図1のようになる。円弧補正を施すと図2のようになる。なお図2では、振り切れ補正は行っていない。 正月ほか(2005)や古村・中村(2006)により、円弧補正、振り切り補正に加え、計器補正を施し、地動の推定が行われている。 図1 東京・大手町における記録(吉村ほか,2011) 図2 円弧補正を施した記録(吉村ほか,2011) 参考文献 †
1964年 新潟地震 †1964年6月16日 13:01:41に発生。死者26名。 液状化現象が顕著であった。県営川岸町アパートが横倒しになった。昭和石油新潟製油所で火災が発生し12日間にわたって炎上した。 川岸町アパート2号棟の地階と屋上でSMAC型地震計の記録が得られた。 Kudo(2000)により、 図1 川岸町アパート2号棟での記録 参考文献 †
標準3波 †従来より,高層建築物の耐震設計に用いられている標準3波と呼ばれる観測記録がある。 EL CENTRO波、TAFT波、八戸波であり、それぞれ1940年Imperial Valley地震、1952年Kern County地震、1968年十勝沖地震での強震記録である。 EL CENTRO波(1940年Imperial Valley地震 M6.4) †1940年5月18日 20:37発生。 USGSスタンダード型による記録。 財団法人日本建築センターより配布されている。 http://www.bcj.or.jp/download/wave.html 50cm/s基準波 TAFT波(1952年Kern County地震) †1968年5月16日 9:47:55発生。 USGSスタンダード型による記録。 財団法人日本建築センターより配布されている。 http://www.bcj.or.jp/download/wave.html 50cm/s基準波 八戸波(1968年 十勝沖地震) †1968年5月16日 9:47:55発生。 SMAC-B2型による記録。 波形は、財団法人日本建築センターより配布されている。 http://www.bcj.or.jp/download/wave.html なお、日本建築センターからは、継続時間の異なる複数のバージョンの八戸波が配布されている。 継続時間の最も長いものは、東京工業大学・翠川研において数値化された継続時間235秒の八戸波である。 この波形は、広島大学・三浦研究室のページからもダウンロードできる。 (https://home.hiroshima-u.ac.jp/hmiura/opendata/hachinohe.html) 参考文献 翠川三郎,三浦弘之:1968年十勝沖地震の八戸港湾での強震記録の再数値化, 日本地震工学会論文集, 第10巻, 第2号, pp.12-21, 2010. (https://doi.org/10.5610/jaee.10.2_12) 1978年 宮城県沖地震(Mj7.4) †1978年6月12日、17:14:44に発生。 大船渡で得られたSMAC-B2の記録がある。港湾航空研究所のDB[港湾地域強震観測」よりダウンロードできる(http://www.mlit.go.jp/kowan/kyosin/eq.htm )。 仙台市内の仙台住友ビルでSMAC-B2の記録が得られた。 大船渡の地表の記録 仙台住友ビルの地下2階の記録 1983年 日本海中部地震 †1983年5月26日、11:59:57発生。死者104名。津波の被害が著しかった。死者も100人が津波による。 日本海東縁変動帯で起きた地震。この変動帯では、日本海側のユーラシア大陸が日本列島が乗る北米プレートに潜り込もうと衝突しているが、海溝が生じるに至っていない状態である。1940年積丹半島沖地震(Mj7.5)、1964年新潟地震(Mj7.5)、1993年北海道南西沖地震(Mj7.8)もこの変動帯で起こった地震である。 日本海中部地震の震源に近い記録として、秋田港で得られたSMAC-B2の記録がある。港湾空港技術研究所のDB[港湾地域強震観測」よりダウンロードできる(http://www.mlit.go.jp/kowan/kyosin/eq.htm )。 ↑秋田港の地表における記録(Akita-S,オリジナル波形) 1993年 釧路沖地震(Mj7.5) †1993年1月15日、20:06:07発生。死者2名。震源が101kmと深く、北海道の下に潜り込む太平洋プレートの内部で起こった「スラブ内地震」である。当時、加速度が大きい割には被害がそれほど大きくないのはなぜかという疑問を呼んだ。 著名な記録に、釧路地方気象台で得られた87型電磁式強震計の記録があり、最大加速度が919Galであった。 87型電磁式強震計波形データは、(財)気象業務支援センターよりCD-ROMで配布されている。 (http://www.jmbsc.or.jp/jp/offline/cd0220.html) *1993年釧路沖地震の87型の記録は気象庁からもダウンロードできます。 http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/kyoshin/jishin/index.html ↑釧路地方気象台での記録 1993年 北海道南西沖地震(Mj7.8) †1993年7月12日、22:17:12発生。死者202名、不明28名。奥尻島で津波の被害が著しかった。日本海東縁変動帯で起こった地震。 当時、奥尻島には地震計がなく、北海道本島の寿都における記録が最も震源に近い記録。 気象庁の寿都観測点では、87型電磁式強震計により記録が得られている。 87型電磁式強震計波形データは、(財)気象業務支援センターよりCD-ROMで配布されている。 (http://www.jmbsc.or.jp/jp/offline/cd0220.html) *1993年北海道南西沖地震の87型の記録は気象庁からもダウンロードできます。 http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/kyoshin/jishin/index.html ↑寿都における記録 1995年 兵庫県南部地震(Mj7.3) †1995年1月17日、5:46:52に発生。死者6434人、不明3人。 都市直下で起こった内陸直下地震。震源特性を反映した周期1秒付近の成分が卓越し、木造家屋や中低層RC建物が破壊する原因となった。 気象庁の神戸海洋気象台で87型電磁式強震計により記録が得られている。87型電磁式強震計波形データは、(財)気象業務支援センターよりCD-ROMで配布されている。 (http://www.jmbsc.or.jp/jp/offline/cd0220.html) *1995年兵庫県南部地震の87型の記録は気象庁からもダウンロードできます。 http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/kyoshin/jishin/index.html ↑神戸海洋気象台における記録 ↑神戸海洋気象台の記録の擬似速度応答スペクトル(h=5%) JR鷹取駅において地震記録が得られた。記録はJR総研より配付されている。 ↑JR鷹取駅における記録 ↑JR鷹取駅の記録の擬似速度応答スペクトル(h=5%) 関西地震観測協議会により、震源近傍の神戸大学他で記録が得られている。速度計により長周期成分まで精度のある観測を行っている。 会員制により、会員の出資金で運営されている。地震記録のデジタル値は会員に配付される。HPからダウンロードすることもできる。 (http://www.ceorka.org/) ↑神戸大学における速度記録(上下動は不具合によりドリフトしている) 1999年 台湾地震 †(吉村)
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